パソコンの警告画面に驚かないで:サポート詐欺の正しい見分け方と対処法
突然の警告画面、それは「サポート詐欺」かもしれません
インターネットを使っていると、突然、パソコンやスマートフォンの画面に「ウイルスに感染しました」「システムが破損しています」といった警告が表示され、不安に感じたことはございませんでしょうか。大きな音とともに、電話番号が繰り返し表示されることもあります。
このような画面を見ると、大切な機器が壊れてしまったのではないか、個人情報が盗まれてしまうのではないかと、つい慌ててしまうかもしれません。しかし、多くの場合、これらは「サポート詐欺」と呼ばれる詐欺の手口です。この詐欺は、皆さんの不安を煽り、高額なお金をだまし取ったり、不要なサービスを契約させたりすることを目的としています。
このページでは、デジタル機器に不慣れな方でも安心して対処できるよう、サポート詐欺がどのようなものか、そして、もしそのような画面が表示されてしまったら、どのように対応すれば良いのかを分かりやすくご説明いたします。
サポート詐欺とはどのような手口でしょうか
サポート詐欺は、皆さんがインターネットを見ている時に、突然、偽の警告画面を表示させ、あたかも本物のセキュリティ会社やパソコンメーカーからの警告であるかのように装う詐欺です。
主な手口は以下の通りです。
- 偽の警告画面の表示: 「ウイルスに感染しました」「セキュリティが危険です」「システムエラーが発生しました」といった内容の警告が画面いっぱいに表示されます。同時に大きな警告音が鳴り響き、画面が閉じられなくなることもあります。
- 電話をかけるよう指示: 画面には、いかにも「サポートセンター」や「セキュリティ担当者」のような電話番号が表示され、「すぐにこの番号に電話してください」と指示してきます。これは、詐欺師に直接連絡させるためのものです。
- 遠隔操作の指示: 電話をかけてしまうと、詐欺師は「状況を確認するため」として、パソコンやスマートフォンを遠隔で操作するソフトウェアをインストールさせようとします。この遠隔操作で、皆さんの大切な情報を見たり、勝手に操作したりする可能性があります。
- 高額な料金の請求: ウイルスを除去する費用や、不要なセキュリティソフトの購入費用として、数万円から数十万円といった高額な料金を請求してきます。支払いを拒否すると、しつこく脅してくることもあります。
このような詐欺に遭わないためには、まず冷静になることが大切です。
サポート詐欺に遭ってしまった時の対処法
もし、パソコンやスマートフォンに突然、不審な警告画面が表示されても、慌てずに以下のステップで対処してください。
ステップ1: 警告画面を消す
多くの詐欺画面は、ブラウザ(インターネットを見るためのソフト)で表示されています。画面が閉じられないように見えても、以下の方法で閉じられることがほとんどです。
-
ブラウザを強制終了する:
- パソコンの場合: キーボードの「Ctrl(コントロール)」キーと「Alt(オルト)」キーと「Delete(デリート)」キーを同時に押してください。画面に表示される選択肢の中から「タスクマネージャー」を選びます。「プロセス」のタブの中に、使っているブラウザの名前(例: Google Chrome、Microsoft Edge、Safariなど)が見つかるはずです。そのブラウザを選んでから、右下の「タスクの終了」ボタンをクリックしてください。これにより、警告画面が閉じます。
- スマートフォンの場合: 画面の下から上へゆっくりスワイプし、起動中のアプリ一覧を表示させます。警告画面が表示されているブラウザの画面を上にスワイプして閉じます。
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パソコンの電源を切る: 上記の方法で画面が閉じられない場合は、パソコンの電源ボタンを長押しして、強制的に電源を切ってください。データが保存されていない可能性はありますが、詐欺画面が表示され続けるよりは安全です。電源を切った後、少し時間をおいてから再び電源を入れてください。
ステップ2: 表示された電話番号には絶対に電話しない
画面に表示されている電話番号は、詐欺師につながる偽の窓口です。絶対に電話をかけないでください。正規の企業や機関が、このような方法で突然電話を要求することはありません。もし、本当に不安な場合は、ご自身で公式なウェブサイトなどで正しい電話番号を調べて確認するようにしてください。
ステップ3: 遠隔操作を許可しない、ソフトをインストールしない
電話をかけてしまい、相手から「遠隔操作で状況を確認します」「セキュリティソフトをインストールしてください」などと言われても、決して許可したり、指示されたソフトをインストールしたりしないでください。遠隔操作を許してしまうと、パソコンの中にある大切な個人情報が見られたり、勝手に操作されたりする危険があります。
ステップ4: 不安な場合は家族や専門機関へ相談する
もし、一人で対処するのが難しいと感じたり、少しでも不安な気持ちになったりした場合は、すぐに身近なご家族や信頼できる友人に相談してください。また、以下のような公的な相談窓口に連絡することも有効です。
- 消費者ホットライン: 局番なしの「188」(いやや)
- 詐欺全般に関する相談を受け付けています。
- 警察相談専用電話: 局番なしの「#9110」(シャープきゅういちいちまる)
- 犯罪被害に関する相談を受け付けています。
よくあるご質問
Q1: 警告画面が出ただけで、ウイルスに感染したのでしょうか
いいえ、警告画面が表示されただけでは、必ずしもウイルスに感染したわけではありません。多くのサポート詐欺は、皆さんの不安を煽るために偽の警告画面を表示させているだけです。画面を閉じることができれば、パソコン自体に問題がないことがほとんどです。
Q2: 警告画面が消えません、どうすればいいですか
前述の「ステップ1: 警告画面を消す」に記載した方法をお試しください。ブラウザの強制終了や、パソコンの電源の強制終了が有効です。電源を強制的に切った後に、改めてパソコンを起動してみてください。通常通りに起動すれば、問題はありません。
Q3: うっかり電話してしまいましたが、どうすればいいですか
もし電話をかけてしまっても、指示に従って遠隔操作を許可したり、お金を支払ったりしていなければ、被害には遭っていません。すぐに電話を切り、それ以上相手と連絡を取らないでください。もし、個人情報(氏名、住所、生年月日、クレジットカード情報など)を伝えてしまったり、遠隔操作を許可してしまったり、お金を支払ってしまったりした場合は、すぐに警察相談専用電話「#9110」や、ご家族に相談してください。
まとめ:冷静な対処と相談が大切です
パソコンやスマートフォンの警告画面は、多くの人にとって驚きや不安を感じるものです。しかし、そのほとんどが、皆さんの不安を逆手にとった「サポート詐欺」です。
大切なのは、決して慌てず、冷静に画面を閉じることです。そして、画面に表示された電話番号には絶対に電話をかけないでください。もし、対処に困ったり、不安を感じたりした時は、一人で抱え込まずに、ご家族や消費者ホットライン、警察相談専用電話などの専門機関に相談することが、ご自身と大切な財産を守るための最も確実な方法です。
「あんしんネット相談室」は、皆さんが安全にインターネットを使えるよう、これからも役立つ情報をお届けしてまいります。